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29 Sep 2020

D-Wave、初のビジネス向け量子コンピュータの一般発売を発表

サイズが決め手:Advantageの5000ビット超の量子ビットと15ウェイの量子ビット接続が、大規模な実稼働ハイブリッド量子アプリケーションを強化します

カナダ、ブリティッシュコロンビア州バーナビー、2020年9月30日  — 量子コンピューティングシステム、ソフトウェア、サービスのリーダーであるD-Wave Systems Inc.は本日、実際の量子コンピューティングアプリケーションの提供を可能にし、加速する、新しいハードウェア、ソフトウェア、ツールを組み込んだ、次世代量子コンピューティングプラットフォームの一般提供を発表しました。Leap™量子クラウドサービスで本日から提供されるこのプラットフォームには、5000ビット超の量子ビットと15ウェイの量子ビット接続を備えたAdvantage™量子システムに加えて、最大100万個の変数の問題を実行できる拡張ハイブリッドソルバーサービス(hybrid solver service)が含まれています。Advantageのコンピューティング能力と、Leapのハイブリッドソルバーサービスによる現実問題に対応できるスケールが組み合わさることで、企業は、パフォーマンスの高いリアルタイムのハイブリッド量子アプリケーションを実行することが初めて可能となります。

企業による本番環境の量子アプリケーション構築を可能にする取り組みの一環として、当社は、ハイブリッド量子アプリケーションの構築を今すぐ始めたいが追加のサポートが必要な場合がある企業向けのジャンプスタートプログラムであるD-Wave Launch™を発表しました。アプリケーションの専門家チームと強力なパートナーコミュニティが一体となったD-Wave Launchプログラムは、最適なアプリケーションを特定し、ビジネスの問題をハイブリッド量子アプリケーションに変換するサポートを提供します。この追加のサポートにより、お客様は量子加速とパフォーマンスを実現しながら、最も重要で複雑なアプリケーションの設計、構築、実行を加速することができます。

また、D-Waveは新たなハイブリッドソルバーも発表しました。離散二次モデル(DQM)ソルバーは、開発者や企業にハイブリッド量子コンピューティングの利点を新しい問題クラスに適用する能力を提供します。DQMソルバーは、バイナリ変数(0または1)のみの問題を受け入れるのではなく、他の変数セット(例えば、1から500までの整数、または赤、黄、青)を使用することにより、量子コンピュータ上で実行できる問題の種類を拡大します。DQMソルバーは10月8日に一般公開の予定です。

Advantageシステムに裏打ちされた新しいソルバーや、よりサイズの大きい問題のサポートを活用して、MentenAI、Save-On-Foods、Accenture、Volkswagenなどのお客様やパートナー様は、今日のビジネス価値のあるソリューションを生み出すハイブリッド量子アプリケーションを構築・実行しています。

  • タンパク質設計のパイオニアであるMenten AIは、ハイブリッド量子プログラムを使ってデノボタンパク質の構造を決定するプロセスを初めて開発し、従来のソルバーを上回る非常に有望な結果を得ました。Menten AIのユニークなタンパク質設計は計算で検証され、化学的に合成されて、現在はCOVID-19に対する生ウイルス試験に進んでいます。
  • カナダ西部の食料品小売業者Save-On-Foodsは、ハイブリッド量子アルゴリズムを使用して、食料品の最適化ソリューションをビジネスに導入しており、現在店頭でのパイロット試験が進行中です。Save-On-Foodsでは、重要な最適化タスクにかかる時間を25時間から毎週わずか2分の計算に短縮することができました。時間の短縮以上に重要なのは、従来の方法では困難な多数のビジネスパラメータの間で、パフォーマンスを最適化する能力です。
  • 世界的なプロフェッショナルサービスのトップ企業であるAccentureは、幅広い業界に適用できるアプリケーションを開発するために、量子ソリューションや量子から着想を得たソリューション、ハイブリッドソリューションを探求しています。Accentureは最近、銀行顧客と一連のビジネス実験を実施して通貨アービトラージ、クレジットスコアリング、取引の最適化のための量子アプリケーションの試験を行い、コンピューティング上困難なビジネス問題を量子定式化にマッピングすることに成功し、量子化への対応を可能にしました。
  • Volkswagenは、D-Waveのアニーリング量子コンピュータを早期に採用した企業で、ハイブリッドソルバーサービスを利用して量子のユースケースを拡大し、塗装工場のスケジューリングアプリケーションを構築しました。このアルゴリズムは、車両塗装の順番を最適化するよう設計されています。ハイブリッドソルバーサービスを利用することで、色の切り替え数が大幅に削減され、パフォーマンスの向上につながります。

Advantage量子コンピュータとLeap量子クラウドサービスには、以下が含まれます。

  • 新しいトポロジー:Advantageのトポロジーは、世界の商用量子システムの中で最も接続性が高いものとなっています。D-Wave 2000Q™システムでは、量子ビットは6つの別の量子ビットに接続が可能です。新しいAdvantageシステムでは、各量子ビットは15個の別の量子ビットに接続できます。2.5倍の接続性を持つAdvantageは、D-Wave 2000Qシステムを使用した場合と比較して、より少ない物理的な量子ビットでより大きな問題の埋め込みが可能となります。D-Wave Ocean™ソフトウェア開発キット(SDK)には、この新しいトポロジーを使用するためのツールが含まれています。Advantageのトポロジーに関する情報はこのホワイトペーパーに、また新しいトポロジーの使用方法についての入門ビデオはに掲載されています。
  • 量子ビット数の増加:5000超の量子ビット数を持つAdvantageは、D-Wave 2000Qシステムの2倍以上の量子ビット数となります。より多くの量子ビットと高い接続性により、量子プログラマーは、商用量子アプリケーション構築のために、より大きく、より高密度で、より強力なグラフに、アクセスすることができます。
  • パフォーマンスの向上と問題サイズの拡大:最大100万個の変数を使用して、Leapのハイブリッドソルバーサービスは、企業が大規模でビジネスクリティカルな問題を実行できるようにします。これにより、Advantageシステムの新しいトポロジーと5000以上の量子ビットと相まって、量子処理装置(QPU)上で複雑な問題や2倍以上のサイズの問題を直接実行できるようになります。実際、
  • 上位27の従来の最適化ソルバーと同等またはそれ以上のパフォーマンスを発揮しました。さらに、QPUの接続性を高めることで、複雑な問題をよりコンパクトに埋め込むことができます。Advantageは、D-Wave 2000Q LN QPUと比較して、場合によっては最適なソリューションを10~30倍速く見つけることが可能であり、またより質の高いソリューションを最大64%の時間で見つけ出します。
  • Leapのハイブリッドソフトウェアおよびツールの拡充:ハイブリッドソルバーサービス、新たなソルバークラス、使いやすさ、自動化、新しいツールへのさらなる投資により、ビジネス規模の問題に対してPythonでさらに強力なハイブリッド高速開発環境が提供されます。
  • 柔軟なアクセス:Advantage、拡張ハイブリッドソルバーサービス、次期DQMソルバーは、Leap量子クラウドサービスで利用可能です。現在Leapをご利用中のお客様は、追加料金無しですぐにアクセスできます。また新規のお客様はLeapのすべての新機能と既存機能の恩恵を受けることができます。つまり、開発者や企業は、今日から、本番環境のハイブリッド量子アプリケーションの開発をすぐに始めることができることを意味します。開発者や先進的な企業は、D-Wave量子システムに、自身やそのビジネスに適した方法でアクセスすることができます。
  • 継続的なリリース:D-Waveは、さらなるハイブリッドソルバー、QPU、クラウドを介したソフトウェアアップデートにより、市場にイノベーションをもたらし続けています。関心のあるユーザーやお客様は、今日から、Advantageとハイブリッドソルバーサービスを利用することが可能であり、プラットフォームの新しいコンポーネントが利用可能になり次第、Leapを通じて、その恩恵を受けることができます。

D-WaveのCEOであるアラン・バラッツ(Alan Baratz)は、次のように述べています。「本日のAdvantageの一般提供開始は、ビジネスに特化した初の量子システムを提供するもので、ハイブリッドソルバーサービスによる本番規模の商用アプリケーションや新たな問題タイプへの拡大を示すものです。今回の発売は、お客様が利用開始するための新しいジャンプスタートプログラムと組み合わせて、D-Waveが長年にわたり培ってきた姿勢を継続するものです。これは大げさな話ではなくスケーリングについての話で、実際のビジネスアプリケーションで実際のビジネス価値を実現するシステムを提供するということです。当社は量子システムを構築する科学への投資も続けています。Advantageは完全に一から作り直しています。当社は、接続性とスケールについて学んだことを利用して、次世代の量子コンピュータのために、イノベーションの限界に挑戦し続けます。当社をここまで導いてくれたチームと、当社にご協力いただき何百もの初期のアプリケーションを構築し、今、アプリケーションを本番環境に移行しているお客様やパートナー様をとても誇りに思っています。」

Menten AIの共同創業者兼CEOであるハンス・メロ(Hans Melo)は、次のように述べています。「当社は現在、量子を使ってタンパク質の設計をしています。ハイブリッド量子アプリケーションを使えば、新しいタンパク質構造を作るのに役立つ天文学的なタンパク質設計問題を解決することができます。当社では、ハイブリッド量子手順により、デノボタンパク質設計で競合する従来のソルバーよりも優れたソリューションが見つかることがよくあり、非常に心強い結果を得ています。つまり、より優れたタンパク質を作り、最終的には新薬の発見を可能にすることを意味します。」

「Save-On-Foodsでは、105年以上にわたりお客様にイノベーションを届けることに取り組んできました。その目標に向かって、とりわけ複雑化が進む環境では、当社は常に問題解決のための新しい創造的な方法を探し求めています。」と、Save-On-Foodsのデジタル・アンド・アナリティクス担当副社長のアンドリュー・ドナハー(Andrew Donaher)は述べています。また「当社は量子コンピューティングを扱い始めたばかりですが、短期間で優れた初期成果を得ています。実際のところ、D-Wave が提供するAdvantageとハイブリッドソルバーサービスを使った初期の結果は十分に有望で、当社としては、パイロット段階を本番のビジネスアプリケーションにすることを目指しています。量子は当社のビジネスの潜在的な競争力として浮上しています。」とも述べました。

Accentureのシニア・マネージングディレクター兼テクノロジーイノベーションリードのマルク・カレル・ビリヤード(Marc Carrel-Billiard)は、次のように述べています。「Accentureは、関連するユースケースを調査し、すぐにビジネス実験を行うことで、主流となる量子コンピューティングの到来にお客様が備えるための支援に取り組んでいます。当社は数年前からD-Waveと連携しており、Advantageシステムとハイブリッドソルバーサービスへの早期アクセスにより、プラットフォームのパフォーマンスの向上と進歩が見られました。これは、幅広い業界全体のお客様のために量子を実現し、新たな競争優位性の源泉を生み出すための重要なステップです。」

フォルクスワーゲン・グループ・オブ・アメリカ(Volkswagen Group of America)の先進技術担当ディレクター、フロリアン・ノイカート(Florian Neukart)は、次のように述べています。「量子コンピューティングを取り入れることは、Volkswagenにとって新しいことではありません。昨年11月に、リスボンにおいて、バスのルーティング・アプリケーションで、ハイブリッド量子アプリケーションを本番で初めて実行しました。Volkswagenでは、企業という文脈の中で、量子コンピューティングの有意義な応用について深い理解を構築することに注力しています。D-Waveのシステムは、多数の変数を伴う最適化タスクをすばらしいスピードで処理する機会を与えてくれます。これにより当社では、日常的なビジネス利用に適した量子アプリケーションに向けてさらに一歩進んでいきます。」

D-Wave Systems Inc.について

D-Waveは、量子コンピューティングシステム、ソフトウェア、およびサービスの開発と提供のリーダーであり、量子コンピュータの世界初の商用サプライヤーです。私たちの使命は、量子コンピューティングの能力を世界に広めることです。そのために、ロジスティクス、人工知能、材料科学、創薬、サイバーセキュリティ、故障検出、財務モデリングなど多様な問題に対する実用的な量子アプリケーションで、お客様価値を提供しています。D-Waveのシステムは、日本電気、フォルクスワーゲン、デンソー、ロッキードマーチン(Lockheed Martin)、USRA、USC、ロスアラモス国立研究所(Los Alamos National Laboratory)、オークリッジ国立研究所(Oak Ridge National Laboratory)など、世界で最も先進的な組織に採用されています。D-Waveは、カナダのバンクーバーに本社を置くほか、カリフォルニア州パロアルトおよびワシントン州ベルビューを拠点として、米国で事業を展開しています。D-Waveは、公務員年金投資委員会(PSP Investments)、ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)、BDCキャピタル(BDC Capital)、日本電気、In-Q-Telの優良投資基盤を擁しています。詳しくは、こちらを閲覧ください。www.dwavesys.com