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導入事例

D-Wave社の量子コンピューターはアメリカ合衆国内の最も先進的ないくつかの連邦機関、請負業者、国立研究所、研究機関で使用されてきています。ここにその一部を紹介します。


ロッキード・マーティン社(Lockheed Martin)は世界最大の防衛産業請負業社の一つで、D-Waveシステムの最初の顧客です。ロッキード・マーティン社は色々な方面の仕事ができますがとりわけ高度精巧システムを設計することに長けています。それにもかかわらず、平均して、これらの設計費のコストの半分は検証(verification) および妥当性(validation) 確認(V and V)に当てられています。

ロッキード社の主任科学者のNed Allen は、システムが将来もっと複雑になるであろうことを認識していても、逆に、V and V にかけるコストと時間を削減できるような全く新しいアプローチを追求したいと強く求めていました。この問題を解決するための量子コンピューター・システムを見つけ出すことを手助けしてもらうために、Allen は南カリフォルニア大学(USC)で電気工学、化学、物理学専門のDaniel Lidar 教授(現USC 量子情報科学・技術センターの管理責任者および共同創設者)を、訪ねました。

Ned Allen はD-Wave社にD-Waveシステム上で実行するためサンプル問題を送りました。それは、ロッキード社の熟練技術者が数ヶ月を要してエラーを見つけ出した30年も昔のF-16戦闘機用のプログラムの塊でした。D-Wave社へサンプルが送られてから6週間後、そのソフトウェア・エラーが特定されました。

2010年終わりに、ロッキード・マーティン社はD-Wave社の最初の顧客になりました。USC情報科学研究所に導入された128量子ビットD-Wave One システムは、2013 年に512 量子ビットD-Wave Two システムにアップグレードされ、さらに、2015 年には1,000+ 量子ビット D-Wave 2x 量子コンピューターに再びアップグレードされました。

「これはコンピューターが出始めた頃と非常によく似た革命である。コンピューターをどのように考えるかについて転換を迫るものだ。」

レイ ジョンソン、 前ロッキード・マーティン社最高技術責任者


南カリフォルニア大学(USC)の情報科学研究所(The Information Sciences Institute:ISI)は、高度な情報処理、コンピューター、コミュニケーション技術の研究と開発における世界的リーダーです。ISIはDARPAから提供された600万ドルの資金をもとに1972 年に創設されました。南カリフォルニア大学で高いランク付けのビタビ(Viterbi)工学研究科のユニットの一つである、ISIは米国内で最も成功した大学付属コンピューター研究機関の一つです。研究所は政府機関と民間企業から基礎および応用研究のために年間ほぼ6,000 万ドルを集めています。

ロッキード・マーティン社により購入されたD-Wave システムは、コンピューティング技術において世界的リーダーの一つであるUSC 情報科学研究所に設置されています。このコンピューティング・センターは量子コンピューター・チップの将来の世代を支援するために建設され、大学とそのパートナーを量子コンピューティング研究の最先端として位置付けています。

USCの研究は、断熱量子最適化において理論面および実践面にフォーカスしています。この最適化は、物理的量子システムの最低エネルギー状態を探す問題のプログラミングをし、D-Waveシステムがどのようにそのコンピュテーションを実行するかということになります。

「USC 教授陣、USC 情報科学研究所研究員、そして学生たちは、D-Wave Two システム上で理論的実験的量子研究を行っている。このD-Wave Twoシステムは世界初の商用断熱量子オプティマイザーであり、これまでに作られたシステムの中で圧倒的最大規模の実用的量子情報プロセッサーである。D-Waveシステムにより、このQCC(量子コンピューター・センター)を潜在的な画期的研究の最先端に位置づけている。」


量子人工知能研究所(The Quantum Artificial Intelligence Lab :QuAlL)

グーグル、NASA、USRA のコラボレーション

グーグル、NASA、大学宇宙研究協会(USRA)の共同イニシアチブである量子人工知能研究所 (QuAIL)は、グーグル、NASA、大学宇宙研究協会(USRA)の共同イニシアチブであり、量子コンピューティングをどのように人工知能、機械学習、難解な最適化問題に応用できるかについて先駆的研究に専念しています。2013年、D-Wave Two システムが、カリフォルニア州NASA エイムズ研究センターに本拠地を置くQuAILに設置されました。2015年9月には、同システムは1,000+量子ビット D-Wave 2X 量子コンピューターにアップグレードされました。

「私たちは、量子コンピューティングが最も挑戦的なコンピューター科学問題、特に機械学習の問題、の解決に役立つと信じている。」

ハートマット ニーブン グーグル技術部長

グーグルの研究チームは、量子システムが、音声認識から、ウェブ検索、タンパク質折り畳みに至るいろいろのことに対してより正確なモデルの構築を助けることが出来るかに焦点を当てています。

NASAは量子コンピューティングと量子アルゴリズムがいつの日か、航空管制、自律性、ロボット工学、ナビゲーションと通信、システム診断、パターン認識、ミッション計画とスケジューリングに対して、最適化タスクに必要なアルゴリズムが劇的に改善できることの実証を目標にしています。

USRAは、競争的選定過程を通してコンピューティング時間の20%を割り当てるということを含め、学術コミュニティーとのコラボレーションのためのサイエンス運営を管理しています。


Los Alamos National Laboratory

アメリカ合衆国の国家安全のための戦略的科学に従事する学際的研究機関ロスアラモス国立研究所(Los Alamos National Laboratory:LANL)は、20 世紀ならびに21 世紀のもっとも変革的な発見のいくつかに貢献しています。

2016年には、LANLは、量子アニーリング技術に何ができどのような応用ができるかの探求のため、エネルギー省と選定した大学パートナーとのコラボレーションで主役としてその探求をサポートし、D-Wave 2X システムを導入しました。

「難解な問題に取り組むための新しいアプローチの基盤となる量子アニーリングの研究と評価は、本質的かつ強力なステップであり、未来志向の新しい世代の人々に、国家にとって最も有益な方向性のなかでその進化に影響を与えることが出来るであろう。」

マーク アンダーソン、当研究所の武器物理学担当理事

LANLのさらに多くの人々にD-Waveソフトウェア開発に携わってもらうことを目標に、LANLはD-Waveシステム使用にともなうプロジェクト提案をすることを、速やかにやってほしいと科学者に促しました。最適化、機械学習、理論物理学および加速器物理学、コンピューター科学、統計学、データ科学、物質科学に焦点を当てたものを含め多くのプロジェクトが承認されました。

こうしたプロジェクトに関する詳細情報は、LANLウェッブサイトから見つけられます。


 

Temporal Defense Systems

テンポラル・ディフェンス・システムズ社(Temporal Defense Systems:TDS)は、改善された技術セキュリティ・パラダイムのエンジニアリングに焦点を当てた最先端のサイバー・セキュリティ会社です。TDSは、個々のコンピューティング装置、関連するサブコンポーネントのすべて、そしてネットワーク全体について、相対的なセキュリティ健全性を数値化する新しい測定単位を使用するところの量子セキュリティ・モデル(QSM)という次世代型セキュリティ技術を開発しています。

2017年に、TDSは新しく出たD-Wave 2000Q システムの最初の顧客になりました。TDS は政府機関と一般企業に影響を及ぼす重大で複雑なサイバー・セキュリティ問題の幾つかを解決するために、TDSの技術を用いてこのシステムを使用することを計画しています。

「TDSとD-Wave 量子システム・サイバー・ソリューションとを組み合わせた力は、通信の保全に大変革をもたらし、インサイダー脅威からの保護をし、サイバー敵対者と攻撃パターンを識別することの手助けをします。サイバー攻撃の防止とその特性の両方に焦点を当て最高レベルのセキュリティを提供します。」

ジェームス バレル TDS 最高技術責任者・元FBI副事務局長

サイバー・セキュリティ技術に対する新しいアプローチは、リアルタイムのセキュリティ・レベルの評価、デバイス対デバイス間の認証、長期にわたる永続的な脅威の特定、ネットワーク侵害とデータ盗難が発生する前に内部脅威の検出と防止ができるようにするために、サイバー・セキュリティ製品を次のレベルに引き上げることを目的としています。


オークリッジ国立研究所(Oak Ridge National Laboratory :ORNL)は、革新的な科学・技術ソリューションを通じて、エネルギー、環境、核問題に取り組むことで、アメリカの安全と繁栄を確保することをもっぱらとする複数のプログラムを実行する研究機関です。ORNLでは約5000人が働いており、その中に100以上の分野にかかわる科学者と技術者が含まれ、また所内設置のスーパーコンピューターTitan(米国内最速)が含まれています。

2017年に、D-Wave社は、ハイブリッド・コンピューティング・アプリケーションの進化を目的として ― 特に、将来のExascale級スーパーコンピューターのアプリケーションの加速を助けることを目的として ― ORNLとの契約を締結したことを発表しました。この合意により、ORNLの科学者たちは、科学アプリケーションのためのより良いソリューションを実現する方法として、ハイブリッド・コンピューティング・アーキテクチャをいろいろと探すことを可能にするD-Wave 2000Qシステムへのクラウド・アクセスができるようになります。

「ORNLの研究者たちは、米国エネルギー庁(Department of Energy :DoE)にとって重要なアプリケーションやプログラムを促進する潜在力を持っている、量子、ニューロモルフィック、これまでとは別の新しいコンピューティング・アーキテクチャの使用について調査をしています。この合意は、米国の最も魅力的なコンピューティング上のチャレンジのいくつかを解決するために、独特の設備とユニークな設備を我々の研究者に提供するという当所の目標の範囲内にぴったりと適合しています。」

ジェフ ニコラス博士 オークリッジ国立研究所 コンピューティングおよびコンピューター科学 副研究所長

共同作業の一環として、D-Wave社の担当者は、新しいタイプの問題を解決し、また、コンピューティング・アーキテクチャを組み合わせて既存の問題をより高速に解くために、アプリケーションをD-Wave機のアーキテクチャにマッピングするためにORNLと連携して作業しています。